「自由」を奪ったら、「自由」が生まれた話

こんにちは。NPO法人コンフロントワールド代表理事 荒井です。
サラリーマンをやりながら、NPO法人コンフロントワールドを経営しております。

NPO法人コンフロントワールドでは、アフリカにトイレを建設したり、学校を建設したり、ペルーの刑務所発ファッションの販売などを行っております。


団体を経営するうえで意識していたのは、メンバーの「自由」。




働き方・関わり方も自由だし、ビジョンに繋がると思えば何やっても良い。
団体のお金の流れもメンバーから丸見えだし、団体のTwitterも誰でも投稿出来ます。イベントやりたいって言ったら勝手に企画してやって良い。

まさに「自由」でフラットな団体です。
アフリカでのトイレの建設も学校建設も、代表が決めず、メンバーが言い出しっぺとなり、形になっております。


ただ、そんな「自由」な団体が好きでもあり、嫌いでもありました。

ティール組織を目指していた

オレンジではなくティールで、ピラミッド型ではなくホラクラシー型で、
そんな組織を目指していました。

ぶっちゃけ用語の意味が完全に分かっているわけではないですが、


ようは、上下関係の無い、自由な組織を目指していました。

出典: https://nol-blog.com/what_is_teal_organization/


そして、実際そうでした。理事という法的な枠組みはあっても、
メンバーの中で上下関係などありませんでした。

その分、メンバー全員に、同じ期待、同じ役割という認識でした。
そしたら崩れました。


うまくいっていると勘違いしていた

上下関係なく、みんな全力で最前線に立つ。

そんな風に思っていたら、
「これはみんなでやる」ではなく、
「これは誰かがやるだろう」となり、
全てが中途半端に。

絶対にやらなければならない業務も、「自由」があったからこそ、
「(自分以外の)誰かがやる」という状態になり、
結局僕が、深夜まで対応して何とかこなし、
また発覚したら深夜まで対応して何とかする。
そんな循環で、崩れました。

この頃から、活動している感が無くなり、活動もちょっとずつ小さくなっていきました。

サッカーのグラウンドに11人出て、
「全員自由で!」
って伝えたら、誰もフォワードもキーパーもやらずに、
全員ミッドフィルダーになってしまった。


「自由」を奪った

もう自由に何でもやるスタイルやめよと思い、
制限をかけ、「自由」を奪いました。


役割を明確にしました。
ちゃんと責任者を決めて、「役割」って言えばそうなんだけど、ぶっちゃけ上下関係を作りました。(上下関係が出来た。と見られてもおかしくない状態にしました)

今まで何となくでやっていて、何となくで出来ていないことを出来るだけ可視化しました。

ITリテラシー高い社会人メンバーでゴリゴリ仕組み作りました。
botとかもいっぱい作りました。

行動を制限しました。
今まで自由に走り回っていたのに、
「君は今からキーパーだから、ゴールの近くにいてシュート打たれたら止めてね。これから走らなくて良いから。」
と言いました。
「自由」を奪いました。


具体的には

人によっては、当たり前に思い、人によっては、そうなんだという感想かと思いますが。

タスク・役割・ゴールの可視化

(役割としての)上下関係を作り、責任者を明確にしました。

コミュニケーションにも制限

団体内のコミュニケーションは「slack」を利用しております。


イベントを実施するとき、海外支援をスタートするときは専用フォーマットの記入を必須に

イベント企画シート(リーンキャンバスを記入)

海外支援シート


(細かく何やっているの?が気になる方はご連絡下さい)


徹底的に、ルール作り、ルールによって縛りました。


結構、制限かけてます。



「自由」を奪ったら「自由」が生まれた

ルールを作りました。
動きづらくなるかなと思っていました。

でも、

圧倒的に仕事が進めやすくなり、速く進むようになりました。

思っていた結果とは違いました。

そして、逆にその制限の中での「自由」が生まれました。

内部の話なので、具体例は、公開出来ないことが多いのですが。



例えば、東京に「信号」が無かったらどうなるでしょう?



車を運転しているところを想像してみてください。
まっすぐ進み、交差点に着きました。
あなたは右折しようとしております。


信号が無いので、左から車が突っ込んで来るかもしれません。

信号が無いので、反対車線の車は止まってくれません。なかなか右折できません。

歩行者もいつ飛び出してくるか分かりません。

めっちゃ怖くないですか?

「信号」っていうルールや仕組みがあるおかげで、
目的地に結果的には早く到着出来るし、好きな場所へドライブ出来ます。

「信号」が「自由」を奪い、「自由」を生んでいるんですよね。

そんな「信号」の設置を組織の中で実施しております。


NPOの仕事の進め方にイノベーションを

NPOを設立したタイミングではこんなこと思っていなかったですが、

僕はチヤホヤされるとか、外の人から尊敬されるとか、そういうの捨てました。

自分と同年代でも、そうでなくても、国際協力やっている人ってキラキラしている人が多いんですよね。


でもやっぱり、世界にインパクトを残すためには、
僕が有名になるよりも、組織のパワーを上げていったほうが手っ取り早いし、
組織のパワーを上げられる人間になったほうが、長く社会に貢献できると思っております。




コンフロントワールドにも、社会人メンバーが増えてきました。
NPOとか国際協力やっている人からすると、仕事の進め方に違和感というか、いわゆるビジネスビジネスしているかもしれません。


ただ、こんだけ若く、代表含め副業メンバーが多い組織なので、起こしたいなと思っております。
NPOの進め方にイノベーションを。


ぜひ、NPOの先輩の皆様、国際協力の先輩の皆様、
仕事の進め方の工夫とかあれば、情報交換し合いましょう!


副業でバリバリ関わっている人増えています!
新メンバーも募集中です!


というか、プロジェクトを回せる、管理できる人、大大募集中なので、この記事書きました!



そして、ぜひ、同年代のNPO経営者、経営力高め合っていきましょう!

おまけ

コンフロントワールドのメンバーに向けて、荒井がこんなことを考えていますというメッセージをたまに送っているのですが、その一部を紹介します。
このブログをご覧になっている方の中にも、未来の仲間がいるかもいるかもしれないので、先に知っておいてください!

【荒井が大事にしたいこと】

これから皆様とコミュニケーションを取っていくことになりますが、
その上で、荒井が大切にしている考え方を知ったうえでコミュニケーションとったほうが、色々伝わると思うので、共有します。
ぜひ、感想をコメントください。

①すべてはビジョンのため
これから書く考え方も、これを共有するのも、全て、
「不条理の無い世界の実現」
のためです。
きつい言い方をすると、メンバーに好かれたいから、仲良くしたいからという欲求で動く組織は良くないと思っていて、
ビジョンに向かって切磋琢磨する組織でいたいです。

②力が無いと、世界は救えない
あーだこうだいう人、有名な人、偉い人、色々いますが、結局世界を変えるには「力」が必要です。
この「力」というのは、魔法でも才能でもなく、「努力」によって得られます。
これを考えた背景としては、僕は、学生時代ボランティアしていたら、子どもが亡くなり、
やっぱり気持ちだけでは世界を救えない、力がないと世界を救えないという、恐怖というか、それに気づいてしまったからです。

③評論家でも、研究者でもなく、「実行者」であれ!
NPO界隈だと特に、自分が良いこと言うと評価され、嬉しくなり、という循環が生まれてしまいます。
そして、人が知らない知識を知ることになるので、(アフリカのトイレの現状とか、ピエタの存在とかも)
自分が簡単に評論家でも、研究者にでもなれます。

ただ、現地の、トイレを使えない人が望んでいるのって

NPOの支援の在り方を永遠と議論している人でもなく、
めちゃくちゃアフリカのトイレ事情に詳しい人でもなく、
「バカでもトイレを建てられる人」
であることは間違いなくて、シンプルに「実行者」を目指す組織でいたいです。

とは言っても、
その支援意味あるのか?

タンザニアに学校建設するのって、こんな悪い点あるよね
なんかと、否定的な意見って本当に浮かびやすくて、
それが悪いってことでもなく、多角的に見るのが大事ですが、

その否定的な意見は、
「評論家」としての否定か、「研究者」としての否定か、
「実行者」としての否定か
自分で自分に聞いてみてください。

(もちろん評論家、研究者は凄いと思いますが、団体のスタンスとしては「実行者」で)

これも僕は過去に研究者になりたくて、研究めっちゃやっていた時に、これって社会の役に立つんだっけ?と疑問を感じたのが思想の背景にあります。

そして、僕は過度に「実行者」スタンスを貫こうとしてきたので、国際協力の啓発(例えばイベントとか)にはあまり力を入れてこなかったという反省もあります。

ただ、口だけの人間、口だけの組織と言われないように、
世界を前に進める実行者でありたいという気持ちは強くあります。


④過度な優しさは麻薬。成長は優しさではなく、経験によって生まれる。
これも僕の今までの人生というか、周りの人を見ていても、
ただ優しくされているだけの人って1年後結局変わっていなかったり、やっぱり挑戦している人はきつく見えても1年後目に見える変化を生んでいたり。

「アメとムチ」という言葉がありますが、やっぱり成長する要因は「ムチ」で、そこは確信しております。

もちろん「アメ」が不要というわけではないです。そして「ムチ」も辛いことしろ、じゃなくて「挑戦」しろということです。
ただ、「アメ」だけを与え続けて良い人ぶっている、リーダーぶっている人は気持ちいいでしょうが、実はその人自身が自分に「アメ」という麻薬を与え続けているだけだと思っております。

⑤ブレストでは夢を語り、判断は現実を語る
何かアイデア出しとか、未来を考える時は、あえて極論を言ってみたり、ありえないこと、ぶっとんだことを言う勇気、癖、習慣が必要です。

特にNPO法人は、今までの延長線上の世界を創るというよりも、延長線上に無い世界を創らないといけなく、いかに妄想できるか、理想をかっこよく語れるかが重要です。
(例えばトイレ無い人がトイレ使えないが延長線上の世界、トイレ使えるようになるのが延長線上に無い世界のイメージ)

とは言っても、よしやろう。という時に、現実味がないと、結局口だけで何も出来ないということになってしまうので、きちんと現実を見て、背伸びした目標を掲げるのが重要です。
(例えば、ピエタを1年で1億個売る、という目標はアイデア出しの時は超重要ですが、実際に皆で追うべき指標ではないです)

⑥人は正しさでは動かない。「正解」よりも「納得解」を。
今、新型コロナウイルス感染症が流行っていて、どう考えても不要不急の外出はアウトです。

そんなの分かっています。

なのに、人は電車で移動し、カフェでお茶してます。
今、地球の環境とか考えた時に、ペットボトルとか、ビニール袋は禁止したほうが良さそう。そんなのみんな分かっている。
それでも人はペットボトルで飲み物飲んでます。


これは、外出するなとか、ペットボトル使うなということを伝えたいわけではなく、「正解」で人間はコントロールできないんです。
勿論slack反応したほうが良いです。

そんなのslack見たらコメントするほうが、スタンプ押すほうが良いです。

その「正解」の提示では人は動かないのです。
僕が大事にしているのは「納得解」という考え方です。
合理的な「正解」というよりも、人の感情を加味した「正解」というのでしょうか。

なぜ、「正解」ではなく、「納得解」を追うかと言うと、そっちのほうが目的に繋がるからです。ビジョンに繋がるからです。

例えば、ペットボトル禁止にするという「正解」よりも、マイボトルを広めるという「納得解」のほうが、実は早かったりするからです。
この「正解」というのは厄介で、取りつかれたら中々抜け出せません。「正解」を追うのは間違ったことではないですし。

そんな時は、人に相談しましょう。そうしたら「正解」無理じゃね?でもこの「納得解」あるよね
となるので

⑦「平等」であることが、時には「不平等」
これシンプルにひいきしますということです。
そして、「不平等」と「不条理」は違うので前置きします。
(ここは議論しだすときりないので割愛)
例えば、大学のテストで100点の人、10点の人がいるとします。
100点の人は進級、10点の人は留年。

これは「平等」でしょうか?「不平等」でしょうか?

二人とも払っている学費は同じです。
それなのに進級する人、留年する人がいます。

いや、「平等」でしょ?
勉強しなかったのがいけないじゃん!
そう考える人もいるかもしれませんが、

例えば、
100点の人は親に学費を出してもらっており、勉強もしているが飲み会うぇーい。
10点の人は自分で学費を払っているため夜もバイトして勉強する時間がない。親の介護もある。マジ大変。そりゃあ10点取るわ。
こうなると可哀そう、しょうがない、環境が「不平等」だ!
となるかもしれません。

このケースが「平等」なのか「不平等」なのかなんて、議論するつもりないですが、
伝えたいことは、「平等」か「不平等」というのは、どこを切り取るかで変わるということ。

そして、僕がメンバーに対して約束することは、
頑張るメンバー、ミーティングに出るメンバー、slackに反応するメンバーに時間を割く、ひたすらひいきする
ということです。
前からいるメンバーとか、仲良いメンバーとかそんなの関係ないです。
色んな事情があります。
それぞれ生活リズムも、環境も違います。
だけど、コンフロントワールドの部分だけ切り取って判断します。

これが、僕のみんなに対する「平等」かつ「不平等」な約束です。

(これはもちろん無理しろと言っているわけではなく、ちょっと活動に参加出来ないとかOKだし、自分の関わり方でOKだけど、俺の時間を割くのは頑張るメンバーに対してだから、そこんとこ認識しといて。前に頑張ったじゃんとかじゃなく今ね)

⑧コンフロントワールド内部での価値ではなく、社会に対する価値を上げろ
これは一言でいうと、コンフロントワールドを踏み台にしよう
ということです。
コンフロントワールドでどんなに活躍しても、結局そこから羽ばたいていかないと意味ないです。

社会に出たタイミングで、何かに挑戦するタイミングで、
コンフロントワールド以外の場所で活躍し、
それがコンフロントワールドでの経験とか挑戦のおかげであるとしたら、そっちのほうが不条理の無い世界につながるかもしれないし、個人的に嬉しいです。

日本の小さなレストランで料理をしていたシェフが、
もっと有名な店、もしくは世界で、美味しい料理を多くの人にふるまったほうが、多くの人が笑顔になります。
なので、対組織、対コンフロントワールドではなく、
いつでも対社会
を意識してください。

(ただ、やっぱ規模的にも難易度的にも、コンフロントワールドで活躍出来ないと社会では活躍出来ないと思います。活躍の定義とか、かける時間とかは考えない前提で)

⑨組織は生き物。変化する。
ここでこうやって僕がいうことも、10年後、もしくは1年後、もしくは1カ月後に変わっているかもしれません。

今日のコンフロントワールドは、明日には違う組織になっています。
それは組織の構成要素が「人」だからです。

みんなの考え方も変わるし、メンバー内のコミュニケーションで認識が変わるし、そもそものメンバー変わるし。

大事なのは、変えるもの、変えないものをはっきりさせ、
ちゃんと「組織の変化」に対応し、「自分自身も変化」することだと思っています。
1年前、1カ月前のコンフロントワールドと、今のコンフロントワールドは全然違いますよね。
事業も、連絡手段も、メンバーすら違う。
では、あなたはどんな変化をしていますか?

⑩やっぱり、みんなで遠くの景色を見たい
これが最後。
僕は19歳の時から、海外ボランティアとか、国際協力をやってきました。

なので、みなさんがぶつかるジレンマとか、葛藤とか、もう三周分ぐらい経験してきました。

物乞いは良いのか?悪いのか?

支援することは格差を生むものではないのか?

など。

色々苦しんで解決して、の繰り返し。
一応社会人も4年目になりましたので、
サラリーマン歴もメンバーの中では長いほうです。
仕事がうまく行かない、空回りする、理不尽だ、この先どうしようか悩む
などなど。

みんなの話聞くと、あー俺もそんなことあって、こうしたよとか言いたくなっちゃいます。

僕は、真面目な場面とか、仕事の場面で、自慢げにどや顔で、自分の過去の武勇伝とか、自慢とか聞くのは嫌いで。
(過去の武勇伝ばかり話す人を、僕は頭の中で「タイムスリップ武勇伝バカと呼んでいます。もちろん居酒屋でゲラゲラ話したりするのは楽しいよ)

過去のことよりも未来のこと話しながらワクワクしたい人間です。
ただ、一つ、みんなに伝えたいことがあって、
こういうのは好きではないんだけど、
唯一、押し付けたい価値観があって、

それは、

「1人よりも、みんなでやるほうが絶対に良い」

ということ
1人でやるよりも、みんなでやるほうがインパクトが大きい。
みんなでやると、やりたいように出来ないこともあるし辛いことも多いけど、終わったことの達成感はものすごく大きい。

これだけはマジで思うし、譲れない価値観です。
なので、こんな小さな組織なのに、進み遅いなって思う部分あるかもですが、みんなで遠くの景色みたいからです。
(と言ってもかなり早いですが)


最後に、この考えはあくまで、荒井個人の考えです。

ただ、立場上、この考えが強く反映することになっちゃうと思います。
全て同意というか、共感するのは難しいかもですが、
共感しない場合は自分自身で共感しないというのを認識したうえで、
組織や荒井と関わってください。

そして、僕は、なんだかんだ同年代の国際協力に挑んでいる人の中ではそこそこやっているほうだと思います(自分の中ではいつでも日本を代表する人材だと思っている)

なので、ぜひ、「荒井昭則」をあなたの人生に活かしてください。
使い倒してください。

メンバーや世界のためにお金や時間を使うことは、僕にとっての本望なので。


色々書きましたが、居酒屋ではくだらない話もするので、
今後もよろしくですー
遅い時間にすいません!

おまけのおまけ

現在、クラウドファンディング実施中です。
ぜひ、ページをチェックしてみてください!

https://readyfor.jp/projects/covid19-uganda